青いとかげのブログ

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心臓リハビリテーションとは

私は急性期病院で理学療法士として働いています。

対象となる患者さんは様々いますが、主に心臓血管術後の患者さんのリハビリテーションを担当することが多いです。

例えば、心臓の血管が細くなった方に行うバイパス術や、心臓の弁の働きが悪くなった方に行う弁を交換する手術があります。

いずれも、心臓を止めたり、胸の真ん中の胸骨という骨を切ったりするため、体にとっては負担が大きい手術です。

そのような方に対して、術後一日目からリハビリテーションを行っていきます。

リハビリテーションといっても術後早期の場合は、決して難しいことをするわけではありません。

座って、立って、歩いてといった人間にとって基本的な動作の獲得を目指していきます。

健康な人であれば当たり前にできたことも、大きな手術の後では思うようにいかなくなることがあります。

首や腕には様々な点滴がつながれ、胸やお腹には余分な体液を排出する管が入っており、口や鼻には酸素が流し込まれたりしているのです。

そんな状態で「リハビリをするのか」と思われるかもしれません。

しかし、最近では手術や医療の進歩により、安静にしていることの弊害が指摘されています。

たとえば、肺炎などの呼吸に関する合併症、心臓の働きや筋力、認知機能などの低下です。

術後のリハビリテーションによって、このような弊害が発生するのを防止し、元の身体機能や認知機能に回復し、早期に社会復帰できるように支援を行っています。

術後なので、当然痛みもあります。

痛みが強くて動けないときも、痛み止めを使ったりして、リハビリテーションをすすめることもあります。

座って、立って、歩いてといったことを段階的に進めていきますが、重要なのはその時の患者さんの反応です。

 

反応には、血圧、脈拍、呼吸などのバイタルサインと呼ばれるものがあります。

他には、痛みの程度、姿勢や動作時のバランスや筋力、パフォーマンスの状態、患者さんの理解度や意欲などがあります。

これらの情報をモニタリングしながら、座ったり、立ったり、歩いたりといったことをしていきます。

動作としては単純なものですが、患者さんの反応は様々です。

痛みが強い人もいれば、全く痛くない人もいます。

立ったときに後ろに大きくバランスを崩してしまう人もいます。

急に脈拍が早くなったり、血圧が大きく下がりめまいを起こす人もいます。

このように、反応も人それぞれであるため、患者さんにあわせた個別的な対応が求められます。

専門職たるゆえんは、それらの反応に対して最良の対応を選択し、その患者さんに合わせた個別のリハビリテーションプログラムを考えることにあるのかなと思います。

心臓血管術後のリハビリテーションは、例えばスポーツ外傷後のリハビリテーションなどに比べて、まだまだ社会的な認知度は低いと思われます。

対象となる方も高齢の方が多いですが、高齢社会に伴い、今後患者数は増えていくと言われています。

今後も「心臓リハビリテーション」の情報をアップしていき、読者の皆様に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。